時代の流れに取り残され、滅び行く寝台列車。往年のブランド「あさかぜ」と「さくら」(東京〜博多間)が引退して久しく、残りわずかとなった伝統のブルートレインのひとつが東京〜大阪を結ぶ寝台急行「銀河」である。
とりあえず生き残った理由は、東京あるいは大阪を最終の新幹線よりも遅い時刻に発車すること、そして始発の新幹線よりも早い時刻に着けること、というマーケットのニッチをうまく埋めたアイデアのように聞こえるが、乗客の少なさを見ればそれがこじつけであることは誰の目にも明らか。採算ベースに乗っているとはちょっと思えない。(採算ベースである乗車率30%は辛くも維持されているとも言われている)
料金を下げるために特急にしないらしいが、B寝台でも片道16,000円であることにもはや価格競争力はない。1フロアに4席という豪華夜行高速バスのプレミアム・ドリーム号ならたったの9,910円である。どなたにもお薦めしようとは思わないが、ここはひとつ、急行「銀河」A寝台、片道20,300円也。
この寝台急行「銀河」もついに廃止が決定された。
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■寝台列車の発車ホームは、新幹線ホームでは決して味わえない「旅」の気分を感じさせる何かがある。静かに列車の入線を待つ人々。粛々と入線する列車。しみじみとした見送りの風景。
■A寝台はお値段が高いだけのことはある。B寝台にくらべて格段にプライバシーが確保され、落ち着いた自分だけの空間が得られる。大きな窓を独り占めできる下段が格別上等。いまどきの「銀河」はまず混むことはないから、ほぼ確実に下段が確保できる。
■靴を脱ぎ、浴衣に着替え、テーブルを出してウィスキーのミニボトルを開ける頃には、車窓には都会の夜景が流れはじめている。ほのかな旅情を感じさせる流れる夜景付きビジネスホテルと思うと、なんだか得した気分。新幹線で移動した先のホテルの部屋のなんと味気ないことか。ましてや、こちらはいつ廃止されてもおかしくない古き良き鉄道時代の寝台列車である。
■列車内を探検してみよう。A寝台は1号車。その先にはディーゼルエンジンを積んだ電源車が接続されている。唸り音とともに一晩中客車に電力を供給し続けている。車内の造作のすべては古風であり、良くも悪くも頑丈かつレトロであり、老朽の空気に満ちている。見ているだけで胸がキュウとなる。洗面は広く、専用の喫煙コーナー(上画像)が設けてあったり、あちこちに遊びのスペースがあって、古さの中にも豊かさが感じられる。
■目が覚めると車窓の風景は米原だった。ベッドは広く快適なので体が痛いなどということもなく、気持ちの良い目覚めである。但し、振動や少しの物音に敏感な方、外泊ではなかなか熟睡できない方には無理があるかもしれない。
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寝台列車の旅を快適にするポイント
- 乗車前に風呂にはいっておくこと。
- 車内販売はないので、お茶、お酒、おやつなどはしっかり用意しておくこと。発車時刻になると駅の売店はほとんどすべて閉店してしまうので、早めに購入しておかないとみじめな旅になってしまう。東京駅はコンビニの"NEW DAYS"だけが開いている。
- 発車ホームに早めに着くようにして、寝台列車発車ホームの独特の空気を楽しんでみてはいかが?
- 浴衣、スリッパはあるが歯ブラシ、手ぬぐいはない(ペーパータオルはある)。
- あまりはしゃいで夜更かしするよりも、早く寝て早起きした方が楽しみが多いし、時間もゆったりと使える。
- 大阪着7時18分。時間に余裕があるから、朝食はちょっといいもの食べよう。
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新幹線「のぞみ」・・・東京〜新大阪
ビジネスホテル一泊
合計14,000円
6,000〜9,000円
20,000〜23,000円さあ、どっち? 急行「銀河」A寝台・・・東京〜大阪
+動く夜景付ホテル+旅情
合計20,300円
0円
20,300円