これを教えてくれたのは、義父であります。
義父は、羊羹といえばもうこれしかない、と言っていたそうです。
なんといいましょうか、力がこもりすぎず、口の中にやさしい品格がある香りが広がるのです。
私は長い間、羊羹というものはピアノのような黒く深い光をたたえたものだと思っていたのですが、これを食べて世界が変わりました。
このようなことを書いたからといって、とらやや東京羊羹を否定するものではありません。
なお、業績不振・架空売上・倒産騒ぎがあった駿河屋ですが、有志諸氏による再建の努力に支えられて和菓子職人は再雇用され工場の閉鎖もまぬがれました。