Olympus XAが発表された時、すぐにカタログを入手して穴のあくほど見つめたことを覚えている。XAの、距離計連動だったり作画を意図した絞り優先の仕様にはちょっと心が動いた。しかし、当時画期的だったケースなしのスタイルに抵抗があったり、フィルターがつけられないとか、ストロボが非力であるとか、イチャモンつけて結局買わなかった。距離計がない3段階ゾーンフォーカスのXA2など、馬鹿にして相手にもしなかった。
月日は経ち、あれから20数年。ある日、ほとんど新品といっていい状態のXA2を手にすることになった。親しくしていただいたコロムビアの名プロデューサー小暮さん(交通事故で急逝)の遺品である。まず、時の経過を全く感じさせない優れたデザインにあらためて驚かされた。重量感、質感もいい。電子式なのは、AE機能だけ。巻き上げ、ストロボ連動スイッチ、フォーカシング、さまざまなロック機構、これらはすべて機械式で、みればみるほど実によく機能デザインされている。
XA2を持って外に出て、何故、距離計連動でなくてもいいのか、ケースなしなのかがよくわかった。今更にして、私も少しは大人になったのだ。XA2は、あっという間に私の常用カメラになった。このカメラを手にするたびに、小暮さんのいつも前向きな明るさと趣味の良さを思い出す。
撮影データ: XA2 35mm/F3.5 Auto / Fuji ASA100 ネガカラーをサービスプリントしてスキャナで読み込み / 小石川植物園 / 2003.11.23