総合利得とダンピング・ファクタのまとめです。残念ながらこのデータは無帰還ではなく、負帰還抵抗を入れたままでの測定です。ですから、球が入れ替わるたびに負帰還量が微妙に変化してしまい、球オリジナルなデータが得られたわけではありません。とはいうものの、負帰還量はわずか(2dB〜4dB)であり、各球の特徴がみごとに出ました。EL34(3結)のようにそもそも内部抵抗が低い上に感度にいい球の場合は、負帰還量が若干増加するために、結果としてダンピング・ファクタは高めになりますし、6F6GT(3結)のようにもともと内部抵抗が高くしかも感度の悪い球は、ほとんど負帰還がかからないので、もともと低いダンピング・ファクタがより低めになってしまいます。どの球も同じ5KΩ負荷での比較ですから、7kΩ負荷あたりが適切負荷である6F6GT(3結)はかわいそうですが。
6G-A4とEL34(3結)はおどろくほど同じで、次いで6550A(3結)が似ています。6F6GTをルーツとするCZ-504D(3結)はやはり6F6GT(3結)に似ていますが直線性はCZ-504D(3結)の方が優れています。6L6-GC(3結)はこの2つのグループの中間といったところです。
出力管(Tubes & Make) 動作(Operation) 総合利得=倍(Gain) D.F. 感想 6G-A4 Toshiba --- 10.2 4.4 ニュートラルな感じだが、透明度がやや足りず、かすかに霧がかかったよう。いちばん気に入っている。 6F6-GT Zaerix 3結 7.9 2.7 こりこりと硬い感じ。中域のハリがあるのに、低域ののびやかさは最も失われている。 UL 10.3 1.9 こりこりと硬い感じがより強調され、まとまり感のなさが気になる。 CZ-504D Elevam 3結 7.6 3.0 こりこりと硬い感じは6F6GT(3結)に準ずる。心持ちゆったり感がある。 UL 10.5 2.0 - 6L6-GC Sylvania 3結 8.4 3.3 中低域のエネルギーがすっぽぬけた感じ。高域のざわつき感がある。 UL 11.6 2.5 6L6GC(3結)の欠点がより強調される。 EL34 Sylvania 3結 10.3 4.4 6G-A4に非常に近い。著名な市販アンプ同様わずかにEL34臭が感じられる。悪くない。 UL 14.2 3.4 - 6550A 3結 8.8 4.3 EL34(3結)にず太さが加わった感じ。なかなか悪くない。 UL 12.8 3.3 - 測定条件:16Ω負荷時、ON-OFF法