私のアンプ設計マニュアル / 基礎・応用編
基準特性その2
前章ではコンデンサについて説明しました。コンデンサは、直流は通さないが交流は通す、そして交流の周波数が高いほどよく通すという性質がありました。コンデンサと反対の性質を持つ素子はインダクタ(つまりコイルやトランスの巻き線)です。インダクタは、交流は通しにくいが直流はよく通す、そして交流の周波数が低いほどよく通します。


インダクタのリアクタンス

インダクタは、交流は通さない、直流は通す、という性質を持っています。いいかえると、交流的には抵抗かまたは絶縁体で、直流的にはほとんど導線のような性質を持っていると考えてもいいでしょう。

では、交流をどれくらい通すのかというと、1H(ヘンリー)のインダクタの場合、100Hzで約628Ω、1kHzで約6.28kΩ、10kHzで約62.8kΩの抵抗と同じになります。このように周波数が高いほど抵抗値(インダクタのリアクタンスという)が高くなり、その度合いは周波数に比例し、周波数が10倍になると、インダクタのリアクタンスは10倍になります。これが10Hのインダクタの場合ですと、100Hzで約6.28kΩ、1kHzで約62.8Ω、10kHzで約628kΩのはずです。このようにインダクタのインダクタンスが大きいほど、リアクタンスが高くなり、その度合いはインダクタの大きさに比例します。(注:実際には、周波数とインダクタのリアクタンスの関係は完全な比例ではなく、周波数をどんどん高くしていった時に、限りなく無限大になるかというと、そうではありません。ある周波数では横ばいになり、それよりも高い周波数では逆に低下したり、波打ったりしはじめます。)

インダクタンスとリアクタンスの関係を公式にすると、以下のようになります。

R = 2πfL

しかし、これでは(私の場合)ちょっと使いにくいので、この式を実用的な形に書き換えたのが下の式です。

R(Ω) = 6.28 × f(Hz) × L(H)・・・式1-1
R(Ω) = 6.28 × f(kHz) × L(1mH)
・・・式1-2

この式を変形すると、リアクタンス値とインダクタンス値から周波数値を逆算することができます。

f(Hz) = R(Ω) / { 6.28 × L(H) }・・・式2-1
f(kHz) = R(Ω) / { 6.28 × L(mH) }・・・式2-2

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